今回は、「町会が運営する住民限定アプリの中で一番欲しい機能はなんですか?」という質問を200人に実施するアンケート調査を行いました。
現代の地域社会で、住民が自治体や町会のデジタル化に求める機能とはなんでしょうか?
コミュニケーションをスムーズにするメッセージ機能?
イベントや行事が一目でわかるカレンダー機能?
それとも生活が豊かになる地域限定のクーポン機能でしょうか??
実は、これらを抑えて1位に輝いたのはアノ機能でした。
本記事では、実際のアンケート結果とともに、なぜ1位の機能がこれほどまでに注目されるのかを、実例とともに詳しく掘り下げていきます。
調査概要
・質問内容1:とても魅力的で素敵な町に住んでいます。ある日、あなたの町会運営がすべてデジタル化され、地域住民限定の専用アプリが配信されました。そのアプリの中で一番欲しい機能はなんですか?
・質問内容2:その機能は具体的にどのような機能だと嬉しいですか?
・実施日:2025年7月
・調査対象:日本全国の一般住民200名
・都市部在住:120名
・地方部在住:80名
・年齢比率(2025年日本の人口構成を基準に)
20代:25名
30代:30名
40代:30名
50代:30名
60代:30名
70代:30名
80代以上:25名
・調査形式:選択式アンケート(それぞれの機能をランキング付けしてもらう)
・選択項目:①町会に問い合わせや意見ができるメッセージ機能 ②町の情報が掲載される掲示板 ③町のイベントが確認管理できるカレンダー ④地域住民限定のクーポンや優待チケット ⑤災害や急な体調不調に対応した危機対策機能 ⑥オンラインで会費や募金などの支払いができる機能 ⑦コミュニティを作って交流する機能 ⑧XやInstagramなどのSNS機能 ⑨その他(自由記入欄)
町会DXで住民が一番欲しい機能
3位:地域住民限定の「クーポン・割引チケット機能」
3位となったのはクーポン・割引チケット機能です。コメントとしてあったのが、「町に住んでいて体感できる特典みたいなものが分かりづらい。商店街の割引チケットとか優待券とかあったら良いなと思う。」といった意見でした。
私の住んでいる町では、頻繁に商店街とかでクーポン発行したりとか色々と取り組んでいます。実は活発にそういった住民にお得なイベントを開催している町も多いかと思うのですが、その存在に気付く人は少ないように感じます。私の場合は、電柱にお知らせの張り紙が貼られていて、そこで初めて気付くというのが多いですね。
これが自分のスマートフォンに「〇〇商店街で使える10%OFFクーポンが届きました!」みたいにお知らせが届いたらスゴク嬉しいですね。
2位:町の情報が掲載される「掲示板」
こちらは「町の情報が掲載される掲示板」が2位となりました。コメントの中で共感した意見は、「大好きな町が発信する情報 であればすごく見てみたい」といったものでした。
たしかに、私は自分の町が大好きで、休みの日は近くのオシャレな店を開拓したり、お気に入りのお店に新作をチェックしたりすることが趣味になっています。今の情報収集源はInstagramがメインですが、町が情報を発信してくれたら面白そうだと思いました。
1位:災害や急な体調不調に対応した「危機対策・災害対策機能」
クーポン、掲示板を抑えて見事1位に輝いたのは「危機対策機能」でした。こちらのコメントに関しては、年齢や地域などの環境によって様々な意見がありました。
たとえば、地方に住んでいる方のコメントでは、
「自然災害の発生時に、避難場所や安否リストなどの情報がすぐに配信されて欲しい」
「周りに人が少ないので、自分の体調が悪くなったらすぐに知らせられたら良いと思う」
「頻繁にクマが出没する地域なので、そういった獣害発生時に緊急警報で知らせて欲しい」
など、地方ならではの意見が見受けられました。
一方、都会に住んでいる方のコメントは、
「災害時の避難経路がすぐ確認できるようにして欲しい。特に地下鉄」
「子供がいるので、不審者の情報とか知りたい」
「災害時、自分が身動きできなくなった時とかに、救助信号を発信できたら良いのでは」
といった意見が寄せられていました。
このように、住民が地域限定のアプリに求める機能は、「有事の対応」に関わる仕組みです。
なぜ危機対策・災害対策機能が1位なのか?
災害や犯罪に対する不安
それは、全国で災害や犯罪に対する不安が拡大しているからではないかと思います。
災害に関しては、南海トラフ地震が今後30年以内に発生する確率は、2025年1月時点の政府の地震調査委員会の発表で「80%程度」と言われています。
さらに、犯罪に関しては最近になって議論が白熱しており、埼玉県川口市のクルド人問題であったり、千葉県木更津市のナイジェリア人ホームタウン問題などの外国人による犯罪率の増加が懸念されています。
信頼できる情報が少なかった
また、災害時の一番のリスクは「正確な情報が届かないこと」です。 実際、2011年の東日本大震災では、津波警報が発令されたにもかかわらず、避難を開始した人の割合はわずか58%にとどまりました(出典:内閣府「防災に関する世論調査」)。
避難しなかった理由としては、
・警報が届かなかった(情報伝達手段が限られていたため)
・避難しない人が多かった(警報だけなので危機感を感じられなかった)
・誤情報、風評被害、SNSのデマが混乱を招き、避難を妨げた
といったことが挙げられ、これらの要因が積み重なり「危機対策・災害対策」が求められているのではないでしょうか。
今、必要とされる災害対策・危機対策DXとは?
緊急速報機能
すべての住民に強制的に通知を送ることが可能。メール/LINE/アプリ通知など多チャンネル対応。
安否確認
「無事」or「救助が必要」をワンタップで報告可能。 一覧表示で住民全体の状況が即座に把握できる。
救援要請と位置情報共有
「救助が必要」と選んだ住民の位置が地図上に表示。 自治体やレスキュー隊と連携した救援対応が可能に。
体調報告
日常的に体調を共有。住民はボタン1つで救助を要請できる。
災害対策・危機対策DXを利用すべき地域
・情報の伝達手段がメディアに頼っている
・防災無線の音が届かない家がある
・住民名簿の管理が手作業
・安否確認の手段がアナログ
・避難訓練が不十分
・拠点ごとの情報がバラバラ
こういった町では、有事の対応が混乱しパニックを引き起こす原因になります。
現代では、X(旧Twitter)やLINEなどで拡散される誤情報が避難を妨げた事例は多く、信頼できる「公式な連絡ツール」の整備が急務です。
まとめ
災害時のDX導入は、命を守る“インフラ”です。 「ワンタップで無事を伝える」「救援要請ができる」「位置情報で助けを呼べる」「自分の体調を誰かに知らせられる」。
いま、町内会が取り組むべきDXは「便利さ」と同時に「命を守ること」を最優先に考えた方が、今後の町にとって最重要なのかもしれませんね。
あなたの町を、守れる仕組みに変えてみませんか?